My Humanity
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今年最後の読書。
今回もSFから1冊、以前読んだBEATLESSの著者による別作品を読みました。
近未来テクノロジーが題材
BEATLESSは、求めていたSF像の期待を外すことがないというか、ちょっと先にあって手を伸ばせば届きそうではある近未来テクノロジーを扱っていました。
これは最近の作品であるが云えに、時代錯誤がなく理解しやすいとういところがポイントだったんだと思ってます。
そして今回読んだ本作も同著者の作品であるがゆえに、題材としては陳腐化することのない近年話題になっている未来テクノロジーを扱ったものでした。
さらにこの作者さん、個人的に文章が読みやすくさくさく読破できました。
なんというか扱っている用語をわかりやすく表現してあって、置いて行かれるということがないというところが、良い所なんだと思います。
というところから、相変わらず飽きることなく最後まで読破。
本作はスピンアウト短篇集
あまり詳しくはないですが、他作品からのスピンアウトとなった作品集とのこと。
「BEATLESS」の世界感をベースにしたシリーズと、これは別に「あなたのための物語」という作品の世界観をベースにしたシリーズ作品が収録。
ということは、いずれ「あなたのための物語」も読んでおいたほうが良いようです。
なおBEATLESSは人工知能、ロボットというジャンルを題材にしているのに対し、あなたのための物語はITPという擬似神経による脳への働きかけというジャンルが扱われています。
後者は仮想現実というよりもリアルでの話題であって、ということで、以前読んだ伊藤計劃の「ハーモニー」にとても良く似た設定。
記憶が薄れてくるに連れて、両作品の違いがわかりにくくなる気がするので、著者以外で違いの言い表せるようになっておくべきな気がする。
Wikipedia(ハーモニー,あなたのための物語)に多少はまとまっているようなので、こちらを参照。
また、本作巻末の解説には、収録作品それぞれについて、簡単な概要がまとめられています。
少ない字数でよくまとまっているので、こちらも参考になります。
読んでみました
全部で、4つの短編で構成されており、どれもBEATLESSの感覚でさくさくと読めました。
中でも本作のために書き下したという、「父たちの時間」がお気に入り。
ちょっと設定が飛んでて設定に関する解説が欲しい気もするけど、4つの作品の中で一番先が気になる展開だったので、読み終わると充実して終われました。
その他「allo, toi, toi」も同じく先の気になる展開の作品。
ただしコチラは、ちょっと設定が設定だけに結末がグロいのでご注意。